2012年12月31日月曜日

2012年、映画館で観た映画ベスト10



1.ザ・フューチャー 
http://www.the-future-film.com/
ミランダ・ジュライの長編映画、第2作目。シアター・イメージフォーラムの「イメージフォーラム・フェスティバル」で観た。
第1作『君とボクの虹色の世界』も短編集『いちばんここに似合う人』も大好きでつまりはミランダ・ジュライのファンなので、今年はこれが観られてよかった。日本では観られないんじゃないかと心配していたから。さらに嬉しいことに来年1月からロードショーも決まっているので、また妻と一緒に観に行きたい。
Beach Houseの"Master of None"が映画の中でとても印象的に使われていて、この曲を聴くだけで一気に映画の中の光景を思い出す。何かを始めようとして挑戦するが、結局何もできずに挫折し、変な方向に進んでしまう主人公。映画のテーマにぴったり合っていると思う。


2.人生はビギナーズ 
http://www.jinsei-beginners.com/
ミランダ・ジュライの夫であるマイク・ミルズの2作目。
ちょうど結婚を決意した頃に妻と一緒に観た。その頃は結婚に関して自分の親が言ってくることにかなりうんざりしていて、結婚は決して楽なことではないなあと思っていた。
この映画からは、恋人との付き合い方や、両親の人生を受け容れて生きていくことなど、教えられたことが多い。今年はこの映画に出会えて良かった。
主人公が病気の父親と過ごした日々の記憶のシーンと、すでに他界している母親との幼い頃の記憶のシーンが特に良い。自分にもいつか親が死ぬときが来るのだろうと思いながら観ていた。


3.白夜(ニュープリント版) 
http://www.byakuya2012.com/
ロベール・ブレッソンの映画。日本での初公開は1978年で、それ以来は映画祭などでしか観ることができなかった作品。ドストエフスキーの原作も読んだけれど面白かった。
セーヌ川に反射する光とか、バトー・ムーシュで演奏される音楽とか、マルトがしている赤いマフラーとかが、頭に焼きついて離れない。孤独な主人公のジャックが好きだ。


4.果てなき路 
http://www.mhellman.com/
モンテ・ヘルマンの21年ぶりの作品。
映画監督である主人公がノースカロライナで実際に起きた殺人事件を元にした"Road to Nowhere"という映画を作るのだが、その映画の中のストーリーと、主人公がいる現実世界のストーリーと、本当の殺人事件のストーリーが交錯しているので、一度観ただけでは意味が分からない。殺人事件の犯人であるヴェルマ役のローレルに監督自身が惚れ込んでしまい、身を滅ぼしていく過程も最高に面白い。
同じモンテ・ヘルマンの過去の作品、『断絶』(ニュープリント版)も同時期に観たけど、これも面白かった。


5.メランコリア 
http://www.melancholiathemovie.com/
ラース・フォン・トリアーの映画が特に好きというわけではない(『アンチクライスト』もまだ観ていない)けれど、これには打ちのめされた。長い長い鬱展開が続いて本当に暗い気分になって、もう解放されたい…と思っていると、最後に惑星メランコリアが地球に衝突してすべてを吹っ飛ばす。この快感は映画館で観ないと味わえないと思う。
ラース・フォン・トリアーの次の作品タイトルは"Nymphomaniac"らしい。これもとても気になっている。


6.ル・アーヴルの靴みがき 
http://www.lehavre-film.com/
アキ・カウリスマキの作品でいちばん好きだ。こんなに心優しいハッピーエンドがあるのか、と感動した。インタビュー記事などを読むと、監督自身はとても厭世家っぽいのだが…。
主人公が密航者の少年を警察から逃がすシーンも好きだけど、主人公の妻が病気から復活したシーンはもっと好きで、泣いた。カティ・オウティネンに後光が差しているように見えた。


7.ミッドナイト・イン・パリ
http://www.midnightinparis.jp/
ウディ・アレンの42本目。何も考えずに観られる。
オーウェン・ウィルソンのぼーっとした顔、ポケットに手を突っ込んで歩く姿、優しい喋り方が大好きだ。


8.危険なメソッド
http://dangerousmethod-movie.com/
デヴィッド・クローネンバーグの新作。
『イースタン・プロミス』や『ヒストリー・オブ・バイオレンス』が素晴らしかっただけに、ファンからの評価は低そうだが、僕は好きだ。
ユング(医者、心理学の師)とザビーナ(患者、心理学の弟子)の関係が最後に反転してしまうシーンがあるが、そこでユングが語る台詞が良かった。


9.ルビー・スパークス 
http://rubysparksjp.tumblr.com/
『リトル・ミス・サンシャイン』の監督夫妻の最新作で主演が『リトル・ミス・サンシャイン』の無口な兄役のポール・ダノなら、好きにならない理由がない。
映画の内容は予想していたよりも遥かに軽くて拍子抜けだったけど…。


10.NINIFUNI
http://ninifuni.net/
真利子哲也監督の短編映画。「Z」がつかない頃のももクロが本人役で出演している。地方都市の浜辺に主人公が車を停め、練炭自殺する。車の窓ごしに、少し遠くでももクロがPVを撮影しているのが見える。手前には主人公の死体。このショットは最高だった。


観たかったのに見逃してしまった映画は『ニーチェの馬』、『テトロ』、『少年は残酷な弓を射る』、『籠の中の乙女』、『わたしたちの宣戦布告』、『最強のふたり』、『別離』など。

2012年5月15日火曜日

ミランダ・ジュライ『ザ・フューチャー』



イメージフォーラム・フェスティバルでミランダ・ジュライの『ザ・フューチャー』を観てきた。

メモ:

・前作『君とボクの虹色の世界』より分かりやすい。
・マイク・ミルズの『人生はビギナーズ』とあわせて観ると面白そう。
・『君とボクの虹色の世界』とは全然違って、暗い。
・僕は結末に希望を感じず、とにかく悲しいだけだった。
・主人公は何かに憧れを持っていて、他人のことが羨ましくて、自分でも何かすごいことをしたくて試してみるけど、結局上手くいかず、気の迷いから汚いオヤジと浮気してしまい、最後には出戻ってくる。まるで自分の過去を見ている気がして辛かった。
・ソフィーは必死なんだろうけど、他人から見たら変な人にしか見えない。それが辛い。
・ジェイソンはソフィーから浮気を告げられる直前に自分の時間を止めてしまい、辛い現実から目を背けた。でも実は時間は流れていて、怪我をした猫を引き取る日は過ぎ、猫は処分されてしまった。ジェイソンが時間の流れを元に戻したときにはもう遅かった。
・幸せなときには時間を止めたいと思うし、幸せじゃないときには時間が早く過ぎ去って欲しいと思う。どちらにせよ時間は流れてしまう。
・『人生はビギナーズ』のラストには「これからどうなるか分からないけれど、試してみよう」という前向きなメッセージがあったけれど、『ザ・フューチャー』 は? ジェイソンはソフィーに「一晩たったら出て行け」と言いつつ許してあげる気もするけれど、ソフィーはどんな気持ちで眠りについたのだろうか?
・ソフィーの服がかわいい。
・猫がかわいい。
・二人を結びつける曲、Peggy Leeが歌う"Where or When"がとても良い。


『ザ・フューチャー』は短編集『いちばんここに似合う人』の読後感と似た、不思議な、わけもなく悲しくて泣けてくる映画だった。


ちなみに僕はこの映画を何があっても観たかったので朝の10時半に並んで整理券を取ったけれど、12時半頃には既に整理券が無くなってしまったらしい。整理券があることを知らずに上映時間前に来たけれど映画館に入れなかった人が沢山いた。東京の映画祭だけで終わらせるのはもったいなさすぎる映画なので、一般公開してほしい。


The Future - Official Trailer [HD]


Peggy Lee "Where or When"